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介護を辞めて工場派遣へ「シンプルに給料が良い」ボーナス無しの年収の比べ方

介護職から派遣の工場へ移ると給料はどう変わるのか。介護職員の平均給与と製造派遣の日額を公的統計で並べ、賞与なし・残業代・契約満了・処遇改善加算まで年収で比べる手順を説明します。

2026-11-08 公開

介護を辞めて工場の派遣に移り、「給料が上がった」と感じる人がいます。ただ、介護は月給に賞与と夜勤手当が乗り、工場の派遣は時給に残業代が乗る仕組みで、月の手取りだけでは比べられません。年収に直して、残業代がきちんと出るか、契約が続くかまで確かめると、移るか残るかを落ち着いて決められます。

Xの声の悩み:残業申請に理由と判子が要る介護から工場派遣へ

介護施設で働いていた人が、派遣の工場勤務に移ったという投稿がありました。介護の職場では、残業を申請するたびに理由を書き、判子をもらう必要があったそうです。工場では残業した時間を書くだけになりました。ボーナスは無くなったものの、毎月の給料は上がったとのことです。

投稿の中の一言はシンプルに給料が良いでした。手続きの手間が減り、働いた分がそのまま給料に出る分かりやすさが、満足につながっている様子がうかがえます。

この声には、論点が2つ含まれています。1つは「残業の申請が面倒で、働いた時間が給料に出にくい」こと。もう1つは「賞与がなくても、時給の仕事のほうが年間で多くもらえるのか」という点です。順に整理します。

状況の整理:残業申請の手間と、給料の仕組みの違い

残業は「申請した時間」ではなく「働いた時間」

厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(平成29年1月20日策定)は、労働時間を使用者の指揮命令下に置かれている時間と説明しています。明示の指示だけでなく、黙示の指示で業務をした時間も労働時間に当たります。

始業と終業の時刻は、使用者が自分で確認するか、タイムカードやICカードなどの客観的な記録で確かめるのが原則です。自己申告制にする場合も、会社には次のような措置が求められています。

理由の記入や判子の手続きそのものが、ただちに違法になるわけではありません。ただ、勤務が終わった後の記録業務や申し送りで残っていた時間は、申請の有無と関係なく労働時間に当たる場合があります。「申請しづらくて付けていない残業」がある職場なら、それは給料の差として表に出ていないだけです。判断に迷うときは、労働基準監督署か社労士に確認してください。

介護は月給+賞与、派遣は時給+残業代

厚生労働省の「令和6年度介護従事者処遇状況等調査」では、介護職員等処遇改善加算を取っている事業所の介護職員(月給・常勤)の平均給与額は、令和6年9月で338,200円でした。内訳は基本給192,660円、手当97,980円、一時金47,560円です。この一時金は、4〜9月に支払われた賞与などを6で割って月額に直したものです。前年の同じ月は324,240円で、13,960円増えています。

一方、厚生労働省の「令和6年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」では、派遣労働者の賃金(8時間換算)の全業務平均は16,735円でした。職業別では「製品製造・加工処理従事者」が11,406円、「機械組立従事者」が11,942円です。8時間で割ると、製品製造・加工処理従事者は1時間あたり約1,426円になります。これは事業所ごとの平均を単純に平均した数字で、地域や時間帯の手当は含み方が求人によって違います。

統計の平均どうしを並べると、介護の常勤月給のほうが高く見えます。それでも「給料が上がった」と感じる人がいるのは、介護側でつかなかった残業代が工場で全部つく、交替勤務の手当がつく、平均より時給の高い求人を選んだ、などの条件が重なる場合です。平均で決めず、自分の明細と求人票の数字で比べる必要があります。

出典: 厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(平成29年) リンク

出典: 厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」第70表(令和6年度) リンク

出典: 厚生労働省「令和6年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」表7(令和6年度) リンク

移った人の変化:介護施設から派遣の工場勤務へ

介護施設の介護職から派遣の工場勤務へ移ると、何が良くなり何が悪くなるのかを、給料・仕事内容・勤務時間帯の3つで並べます。

項目良くなる点悪くなる点
給料時給×働いた時間で計算され、残業も時間を書けば給料に出やすい。月ごとの金額が読みやすい賞与がない求人では、介護の一時金(統計の平均で月47,560円分)が丸ごと無くなる。休みの多い月は給料が減る
仕事内容移乗や入浴の介助がなくなり、利用者や家族への対応もない。決まった手順を覚えれば回せる同じ姿勢や立ち仕事が続き、腕や腰に負担がかかる作業もある。介護福祉士などの資格手当は使えない
勤務時間帯日勤だけの職場なら、夜勤明けの生活リズムの乱れがなくなる2交替・3交替の工場では夜の勤務が続く週がある。契約は期間ごとで、満了で仕事が終わることがある

雇用の続き方も大きな違いです。派遣で同じ課などに3年続けて働く見込みがある人には、派遣会社が雇用安定措置をとる決まりがあります。派遣先への直接雇用の依頼、新しい派遣先の紹介、派遣会社での無期雇用などです。ただ、どの措置になるかは状況しだいで、同じ工場で働き続けられるとは限りません。

待遇の決め方にも決まりがあります。派遣会社は、派遣先の社員との不合理な差をなくす「派遣先均等・均衡方式」か、同じ地域・同じ仕事の一般労働者の平均賃金と同等以上にする「労使協定方式」のどちらかで給料を決めます。賞与の有無や交通費の扱いは、この方式によって変わります。契約前に、どちらの方式かを派遣会社に聞いておくと比べやすくなります。

出典: 厚生労働省「派遣労働者の同一労働同一賃金について」 リンク

出典: 厚生労働省「(派遣で働く皆様へ)平成27年9月30日施行の改正労働者派遣法に関するQ&A」 リンク

選択肢:介護に残る道と、工場派遣へ移る道を比べる

給料の不満が出発点なら、選択肢は3つあります。今の職場で変えられることを試す、介護のまま職場を変える、仕事そのものを工場へ変える、の3つです。

給料の不満から考える3つの道 今の職場で変える ・残業を実際の時間で 申請し記録を残す ・処遇改善の配分を 施設に聞く ・夜勤の回数と手当を 相談する 収入の変化:小さめ 失うもの:ほぼない 介護で職場を変える ・処遇改善加算の 区分を求人で確認 ・賞与と夜勤手当を 年額で比べる ・残業の記録方法を 面接で聞く 収入の変化:中くらい 資格と経験は生きる 工場派遣へ移る ・時給×時間+残業代 で年額を出す ・賞与と交通費の 有無を確かめる ・交替勤務と契約期間 を先に聞く 収入の変化:求人しだい 契約満了の心配が出る どの道も、比べる単位は「年額」にそろえる
図: 給料の不満から考える3つの選択肢(収入の変化は目安の言葉で、金額の予測ではありません)

介護に残るなら、処遇改善加算を確かめる

介護の給料は、令和6年6月から仕組みが変わっています。それまで3つに分かれていた処遇改善の加算が「介護職員等処遇改善加算」に一本化され、加算率が引き上げられました。国は、令和6年度に2.5%、令和7年度に2.0%のベースアップにつながるよう事業所に求めています。加算を取るには、キャリアパス要件・月額賃金改善要件・職場環境等要件を満たす必要があります。

つまり、同じ介護職でも、どの区分の加算を取り、どう配分しているかで給料が変わります。今の職場の給料に不満があるなら、工場へ移る前に、加算を取っている施設かどうかを求人票や面接で確かめる手もあります。

出典: 厚生労働省「『処遇改善加算』の制度が一本化(介護職員等処遇改善加算)され、加算率が引き上がります」(令和6年) リンク

工場派遣へ移るなら、年収に直して比べる

比べ方は単純です。介護側は「月給×12か月+賞与+夜勤手当の年額」、工場側は「時給×1日の時間×月の出勤日数×12か月+残業代+交替手当」で出します。工場側は、長期休暇のある月は出勤日数が減る点も入れてください。

年収で比べるときの3つの確認

①介護側は直近1年の源泉徴収票の支払金額を使う ②工場側は求人の時給と、年間の稼働日数(カレンダー)を聞く ③残業代を入れるなら、見込みの時間を派遣会社に確かめる

介護と工場の数字を、しごと未来図でも見比べられます。医療,福祉の業界の数字と、介護職員の職種の数字をあわせて見ておくと、自分の給料が平均と比べてどの位置かが分かります。

よくある質問

残業申請に理由と判子が要るのは違法ですか
手続きそのものが、ただちに違法とは言えません。ただ、厚生労働省のガイドラインは、申告できる時間に上限を設けるなど、正しい申告を妨げる仕組みを作らないよう求めています。申請しにくくて付けていない残業がある場合は、労働基準監督署に相談できます。
派遣の工場はボーナスがないと聞きましたが、年収は下がりますか
賞与の有無は派遣会社の待遇の決め方や求人によって違います。賞与がなくても、時給と残業代の合計が介護の賞与込みの年収を上回る場合もあれば、下回る場合もあります。求人の時給と年間の稼働日数から年額を出して比べてください。
派遣で働き続けると、3年で辞めることになりますか
辞めることが決まっているわけではありません。同じ課などで3年続く見込みの人には、派遣会社が直接雇用の依頼や新しい派遣先の紹介などの雇用安定措置をとる決まりがあります。ただし、同じ工場で働き続けられるとは限らないため、契約時に派遣会社へ確認が必要です。
工場で働いた後、介護に戻ることはできますか
初任者研修や介護福祉士の資格は、工場で働いている間も失われません。処遇改善加算の一本化で介護の給料の仕組みも変わっているため、戻るときは加算を取っている施設かを確かめると比べやすくなります。

次の一歩

  1. 直近1年の源泉徴収票と、残業を付けなかった日の記録(入退場の時刻のメモなど)を手元にそろえる
  2. 今の施設に、処遇改善加算の区分と配分の仕方を聞き、介護のまま職場を変えた場合の年額も出しておく
  3. 工場派遣の求人は、時給・年間の稼働日数・交替勤務の有無・契約期間・待遇の決め方の5つを派遣会社に確かめてから年額で比べる

数字と求人を確かめる

この記事は、SNSに投稿された悩みを要約し、公的な統計と制度の資料で整理したものです。投稿者が分からないように書き、投稿の文章は短い引用にとどめています。ランキングや順位は付けていません。

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