トップ製造・工場の転職マップ「6時間残業なんて日も」工場の残業が多くて転職する前に確かめる3つの数字
「6時間残業なんて日も」工場の残業が多くて転職する前に確かめる3つの数字
出荷量しだいで残業が6時間になる工場から、残業の少ない工場へ移ると何が変わるのか。製造業の平均残業13.2時間、36協定の上限、割増賃金の計算から、転職前に確かめる数字と聞き方を説明します。

出荷量しだいで残業が6時間にもなる工場は、体も気持ちも休まりません。同じ製造の仕事のまま、残業の少ない工場へ移るのは十分に現実的な選択です。ただし移る前に、求人の月平均残業時間・36協定の上限・残業代込みの月給の3つを数字で確かめておくと、「楽にはなったけれど給料が足りない」という失敗を防げます。
Xの声の悩み:出荷量で残業が決まる工場から、別の工場へ
工場から別の工場へ転職したという投稿がありました。前の職場では出荷量によって残業が増え、6時間残業なんて日も
あったそうです。今の職場では、残業があってもだいたい2時間で終わります。その分、気持ちがかなり楽になったとのことでした。
この声のポイントは、仕事の中身はほぼ同じでも、工場が変わると残業の長さが大きく変わることです。そして「何時に帰れるかが読める」こと自体が、気持ちの楽さにつながっています。
一方で、今まさに長い残業が続いている人には、次のような迷いがあるはずです。
- どの工場でも残業は多いのではないか
- 残業が減ったら、生活できる給料が残るのか
- 求人票の「残業少なめ」を信じてよいのか
この3つを、統計と法律の決まりで順に確かめます。
状況の整理:なぜ出荷量で残業が6時間にもなるのか
製造業の残業は月13.2時間が平均
厚生労働省の「毎月勤労統計調査」(令和6年分結果確報)では、製造業の所定外労働時間(いわゆる残業)は月13.2時間でした。全産業の平均は月10.0時間なので、製造業はやや長めです。それでも、月20日働くとすると1日あたり40分ほどの計算になります。
この数字は事業所規模5人以上、パートタイムも含めた平均です。残業ゼロの人も多い人も合わせた値なので、「平均より長いか短いか」を見る物差しとして使ってください。1日6時間の残業がある工場は、平均から大きく外れていると言えます。
出荷に合わせて人を増やさず、残業で調整する
受注や出荷の量は、月や季節で上下します。忙しい時期に合わせて人を雇うと、暇な時期に人が余ります。そのため、普段は少なめの人数で回し、出荷が増えた日は残業でまかなう工場があります。前日や当日に残業の長さが決まりやすく、生活の予定が立てにくくなります。
反対に、生産計画が月単位で決まっている工場や、人員に余裕を持たせている工場では、残業の長さが大きくぶれにくくなります。投稿にあった「だいたい2時間で終わる」は、この違いがよく出た例です。
残業には法律の上限がある
働き方改革で、残業時間に罰則つきの上限ができました。厚生労働省の説明では、原則は月45時間・年360時間です。臨時的な特別の事情があって労使が合意した場合でも、年720時間以内、複数月の平均80時間以内、月100時間未満(休日労働を含む)を超えられません。月45時間を超えられるのは年6か月までです。
厚生労働省は、月80時間は1日あたり4時間程度の残業に相当すると説明しています。1日6時間の残業が続けば、この線をすぐに超えます。上限の細かな扱いは会社ごとの36協定(残業をさせるための労使の取り決め)で決まるので、気になる場合は労働基準監督署か社労士に確認してください。
出典: 厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和6年分結果確報」第2表(令和6年) リンク
出典: 厚生労働省 働き方改革特設サイト「時間外労働の上限規制」 リンク
移った人の変化:残業の長い工場から、残業の少ない工場へ
同じ製造の仕事で工場を変えた場合に起きやすい変化を、給料・仕事内容・勤務時間帯の3つで並べました。良くなる点だけでなく、悪くなる点もあります。
| 項目 | 良くなる点 | 悪くなる点 |
|---|---|---|
| 給料 | 基本給が高めの工場なら、残業が減っても月給の落ち方が小さい。残業代に頼らない給料の形になる | 残業代が大きく減る。前の工場で残業代が月給の多くを占めていた人ほど、手取りが下がりやすい |
| 仕事内容 | 出荷に追われて急ぐ場面が減り、手順どおりに落ち着いて作業しやすい。疲れからくるミスも減らしやすい | 工場が変わると製品・機械・手順を一から覚え直す。慣れるまでの数か月は、かえって疲れることがある |
| 勤務時間帯 | 帰る時間が読めるので、通院・家族の予定・睡眠の時間を確保しやすい | 残業が少ない工場の中には、2交替・3交替で夜の勤務が入る所もある。日勤だけとは限らない |
いちばん大きいのは給料の変化です。残業代は、法律で決まった1日8時間・週40時間を超えた時間に25%以上の割増がつきます。2023年4月からは中小企業も、月60時間を超えた分は50%以上です。
たとえば、1時間あたりの賃金が1,500円の人で考えます。残業1時間は1,875円です。1日2時間を月20日なら月40時間で、残業代は75,000円になります。前の工場で月80時間の残業があった場合は、60時間までの分と60時間を超えた20時間分を分けて計算するので、差はさらに大きくなります。転職先の月給は、残業を何時間した場合の金額なのかを必ず確かめてください。
出典: 厚生労働省「2023年4月1日から月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます」 リンク
選択肢:今の工場で減らすか、工場を変えるか、仕事を変えるか
残業を減らす道は、工場を辞めることだけではありません。3つを比べると、どこまで変わるかと、引き換えに何を失うかが違います。
今の工場で減らす
まず、自分の会社の36協定で月に何時間まで残業できる決まりなのかを知ることです。36協定は職場で見られるようにしておく決まりがあります。忙しい時期が年の何か月かに限られるなら、その時期だけ乗り切る考え方もあります。出荷の影響を受けにくいラインや部署への異動を相談するのも一つの手です。
別の工場へ移る
投稿の人が選んだのはこの道です。求人票や面接で、月平均の残業時間と、多い月で何時間かを両方聞きます。平均が短くても、繁忙期に長くなる工場はあるからです。生産計画がどのくらい前に決まるかを聞くと、残業が前日に決まる職場かどうかも見えてきます。
面接で聞いておきたいこと
「月の平均の残業は何時間ですか」「いちばん多い月は何時間ですか」「残業の有無はいつ分かりますか」の3つです。数字で答えてもらえるかどうかも判断材料になります。
仕事内容を変える
検査・設備保全・品質管理など、製造の現場に近いまま出荷の波を受けにくい仕事もあります。ただ、設備の故障対応で急な呼び出しがある職種もあるので、仕事ごとに確かめが必要です。製造業全体の給料や働く人の数は、しごと未来図の製造業の数字で確かめられます。
よくある質問
- 1日6時間の残業は違法ですか?
- 1日だけで違法かどうかは決まりません。会社の36協定で決めた時間の範囲内かと、月100時間未満や複数月平均80時間以内などの上限を守っているかで判断します。毎日続くなら上限を超えるおそれがあるので、労働基準監督署に相談できます。
- 残業が減ると、給料はどのくらい下がりますか?
- 今の給料明細で、残業代がいくらかを見るのが一番正確です。残業代を除いた額と転職先の基本給・手当を比べ、そこに転職先で見込める残業代を足して比べてください。
- 面接で残業のことを聞くと、印象が悪くなりませんか?
- 働き続けるために確かめたい、という聞き方なら自然です。「長く勤めたいので、繁忙期の残業時間を知っておきたい」のように理由を添えると伝わりやすくなります。
- 「残業少なめ」と書かれた求人は信じてよいですか?
- 言葉だけでは分かりません。月平均の残業時間が数字で書かれているかを見て、書かれていなければ面接やハローワークの窓口で確認してください。
次の一歩
- 直近3か月の給料明細を出し、残業時間と残業代、残業代を除いた月給を書き出す
- 職場で36協定の中身を確かめ、月と年で何時間まで残業できる決まりか知る
- ハローワークや求人サイトで、月平均の残業時間が数字で書かれた製造業の求人を3件選び、残業代を除いた月給と比べる
数字と求人を確かめる
この記事は、SNSに投稿された悩みを要約し、公的な統計と制度の資料で整理したものです。投稿者が分からないように書き、投稿の文章は短い引用にとどめています。ランキングや順位は付けていません。